研究項目A03(公募I期)

A03-1 ハイブリッド技術とリアルタイム処理による機能ダイナミクスの解明

研究概要

本研究は脳疾患後遺症による麻痺、中枢性疼痛、難治性てんかん患者を対象とし、脳信号のリアルタイムデコーディングと入力フィードバックを試み、脳内の身体表現の変容、神経機能修復のメカニズムとダイナミクスを解明する。健常・病的状態における運動関連脳機能を脳波(EEG),機能MRI(fMRI),脳皮質電位(ECoG)を検出しリアルタイムデコーディングを行う。読み取った運動機能を被験者に様々な刺激でフィードバックし、運動機能読み取りデコーダの作成・改良、運動想起への応用、想起による中枢性疼痛の抑制、さらに長期的な機能回復過程の機能ダイナミクスを解明する。

研究組織

kamada

鎌田 恭輔
KAMADA, Kyosuke

  • 研究代表者 鎌田 恭輔(旭川医科大学 医学部 教授)


A03-2 脳波を用いた手首運動に係る脳内身体表現の学理とその可視化

研究概要

本研究の具体的な目的は,脳波と機能的核磁気共鳴画像法(fMRI)を用いて,手や足の屈伸運動の開始から終了までの脳内神経伝達の流れを可視化し,さらにそれらの運動に関連する筋肉の筋シナジーが脳内レベルでどのように表現されているかを可視化することである.

研究組織

yoshimura

吉村 奈津江
YOSHIMURA, Natsue

  • 研究代表者 吉村 奈津江(東京工業大学・科学技術創成研究院 バイオインタフェース研究ユニット 准教授)
  • 連携研究者 神原 裕行(東京工業大学・科学技術創成研究院 バイオインタフェース研究ユニット 助教)
  • 連携研究者 緒方 洋輔(東京工業大学・科学技術創成研究院 バイオインタフェース研究ユニット 特任助教)

A03-3 慢性ドーパミン欠乏による大脳基底核の脳内身体表現変容とその制御

研究概要

本研究の具体的な目的は,「負の脳内身体表現マーカー」として,パーキンソン病の大脳皮質-大脳基底核-視床ループ回路に出現する異常β振動に着目し,パーキンソン病モデルラットを用いて,その時間的・空間的分布を明らかにするとともに,介入的手法に依って異常β振動と運動障害との間の因果関係を明らかにすることである.

研究組織

nakamura

中村 公一
NAKAMURA, Koichi

  • 研究代表者 中村 公一(京都大学 大学院医学研究科 高次脳形態学 助教)
  • 連携研究者 日置 寛之(京都大学 大学院医学研究科 高次脳形態学 助教)
  • 連携研究者 田中 琢真(東京工業大学 大学院総合理工学研究科 知能システム科学専攻 助教)

A03-4 ヒト脳内身体表現の直接記録・刺激介入を用いた神経機構と変容の解明

研究概要

本研究は、てんかん外科の術前評価目的に記録する皮質脳波(ECoG)データから、直接の脳表記録で得られる優れた時間・空間分解能で、道具使用・到達把持運動・巧緻運動にかかわる各種皮質活動を探索する。電気的線維追跡法である皮質皮質間誘発電位(cortico-cortical evoked potential: CCEP)の手法を用いて、前頭葉・頭頂葉間の皮質間結合を明らかにし、これらの領域間の機能的結合様式から同定された中核ネットワークを同定する。中核ネットワークでの活動様式に基づき、道具使用・到達把持運動にかかわる脳内身体表現マーカー候補を同定する。次に、道具使用・到達把持運動・巧緻運動課題中に、高頻度皮質電気刺激の手法で中核前頭・頭頂葉ネットワーク(単一領野ないし複数領野)に介入を行い、各領域およびネットワークレベルの代償のともなわない身体認知・運動制御の変容様式 (fast dynamics)を明らかにする。A班内の連携を通じて、同様の手法や病変研究から、右前頭葉・頭頂葉での身体意識・運動主体感を担う神経基盤とfastおよびslow dynamicsによる変容の解明を目指す。

研究組織

matsumoto

松本 理器
MATSUMOTO, Riki

  • 研究代表者 松本 理器(京都大学 大学院医学系研究科 てんかん・運動異常生理学 准教授)
  • 連携研究者 池田 昭夫(京都大学 大学院医学系研究科 てんかん・運動異常生理学 教授)
  • 連携研究者 國枝 武治(京都大学 医学系研究科 脳神経外科学 講師)
  • 連携研究者 松橋 眞生(京都大学 学際融合教育研究推進センター健康長寿社会の総合医療開発ユニット 准教授)
  • 連携研究者 下竹 昭寛(京都大学 大学院医学系研究科 臨床神経学 助教)
  • 連携研究者 井内 盛遠(京都大学 大学院医学系研究科 呼吸管理睡眠制御学 助教)

A03-5 感覚神経損傷による脳内身体表現の変容動態の可視化と制御

研究概要

本研究では、神経損傷をした上行性線維(内側毛帯)を特異的に蛍光タンパクでラベルした遺伝子改変マウスを確立し、その線維のリモデリングを見る事で、身体変容様式を明らかにすることを目的とする。とりわけ、視床に入る内側毛帯の内、損傷神経経路を選択的に刺激することで大脳皮質レベルでの賦活化領域を可視化し、身体表現の変容動態を解明する。さらに損傷神経経路選択的な刺激を脳波と同期させることで、変容動態を制御することを試みる。

研究組織

miyata

宮田 麻理子
MIYATA, Mariko

  • 研究代表者 宮田 麻理子(東京女子医科大学 医学部 教授)
  • 連携研究者 尾崎 弘展(東京女子医科大学 医学部 助教)
  • 連携研究者 植田禎史(東京女子医科大学 医学部 助教)
  • 連携研究者 三好悟一(東京女子医科大学 医学部 助教)

A03-6 サル半側空間無視モデルにおける身体と空間

研究概要

半側空間無視の脳内メカニズムの解明のためには動物モデルの開発が重要であるにもかかわらず、半側空間無視の動物モデルはまだ確立していない。近年の解剖学や機能イメージングの研究からは、マカクザルにも注意の背側経路と腹側経路に相同な神経ネットワークがあることが示唆されている。そこで本研究は以下を目的とする:1) マカクザルでの背側注意経路、または背側注意経路の相同部位を損傷させた前後の行動を定量化することによって半側空間無視の動物モデルを確立する。2) 視線計測と頭部のトラッキングを用いて、半側空間無視のモデル動物で網膜中心座標、頭部中心座標での処理がどのように影響を受けているかを解明する。3) そして機能的MR イメージング法を用いて、半側空間無視の症状と機能回復過程がどのような脳内ネットワークの機能障害と関連しているかを神経生理学的に明らかにする。

研究組織

yoshida

吉田 正俊
YOSHIDA, Masatoshi

  • 研究代表者 吉田 正俊(生理学研究所・認知行動発達研究部門 助教)
  • 連携研究者 福永 雅喜(生理学研究所・心理生理学研究部門 准教授)

A03-7 脳卒中後の把握機能回復をもたらす脳内身体表現の変化:サルモデルによる解明

研究概要

本研究の具体的な目的は、サルを用いた「第一次運動皮質損傷モデル」を対象に、第一次運動野損傷後の把握動作回復の背景にある脳活動および遺伝子発現変化を解明することである。さらに、より臨床に近い「脳卒中サルモデル」を確立し、このモデルを用いて脳損傷後の機能回復に関わる脳領域を明らかにする。

研究組織

murata

村田 弓
MURATA, Yumi

  • 研究代表者 村田 弓(産業技術総合研究所・人間情報研究部門 研究員)
  • 連携研究者 上野 友之(筑波大学・医学医療系 病院講師)
  • 連携研究者 山本 竜也(つくば国際大学・医療保健学部 助教)
  • 連携研究者 林 拓也(理化学研究所・ライフサイエンス技術基盤研究センター ユニットリーダー)
  • 連携研究者 肥後 範行(産業技術総合研究所・人間情報研究部門 主任研究員)