研究項目C02

C02-1 感覚入力への介入を用いた姿勢・歩行リハビリテーション

研究概要

超高齢社会に突入した日本では,運動器・神経筋疾患,成人病(糖尿病,脳卒中等)により移動を含む日常生活動作の能力が低下する患者が急増し,要介護者の増加につながっている.移動能力低下に対するリハビリテーション(リハビリ)として,現在は四肢・体幹に直接介入する運動療法が中心に行われている.身体の姿勢維持や運動には体性感覚をはじめとした感覚入力の役割が大きく,感覚入力への介入が脳内身体表現の変容を介して姿勢や歩行を改善するという新しいリハビリを提案できる可能性がある.そこで本課題は,姿勢・歩行障害を示す患者を対象に,感覚入力への介入が脳内身体表現にもたらす変化,それによる姿勢・歩行の変化の解明を目的とする.具体的には,①下肢に感覚障害を有する患者への感覚入力を代償する装具の適用,②神経疾患患者への四肢・体幹筋内の局所麻酔薬等筋注による筋固有知覚の変化,③運動麻痺患者へのFM 干渉型電気刺激による能動的感覚フィードバック,といった介入を行い,経時的な脳イメージングにより脳内身体表現の変化を,また動作計測により姿勢・歩行の変化を捉える.この結果から各介入が脳内身体表現に引き起こす変容を推測するとともに,介入が姿勢や歩行に及ぼす効果を検討する.本課題により広く運動機能低下を示す疾患の患者の移動機能障害に対し,感覚入力への介入を用いた新しいリハビリを提案することになり,これが効果をあらわすことで,超高齢社会において移動機能障害を理由とする要介護・要支援者の減少につながると考える.A02-1,A02-2 とは実験パラダイムを共通化した上で,患者イメージングの結果から脳内身体表現についての実験仮説を提案し,仮説検証の結果に基づいて,脳内身体表現への介入を用いた新たな運動機能リハビリ,適切な脳内身体表現マーカーの提案を受ける.B02項目には脳イメージング,動作計測のデータを提供し,モデルベースのリハビリの提案を受ける.

研究組織

haga

芳賀 信彦
HAGA, Nobuhiko

  • 研究代表者 芳賀 信彦(東京大学 大学院医学系研究科 教授)
  • 研究分担者 花川 隆(国立精神・神経医療研究センター 脳病態統合イメージングセンター 部長)
  • 研究分担者 横井 浩史(電気通信大学 大学院情報理工学研究科 教授)
  • 研究分担者 大脇 大(東北大学 大学院工学研究科 助教)
  • 連携研究者 石黒 章夫(東北大学 電気通信研究所 教授)
  • 連携研究者 四津 有人(東京大学 大学院医学系研究科 助教)【A02-1と連携】
  • 連携研究者 杉 正夫(電気通信大学 大学院情報理工学研究科 准教授)
  • 連携研究者 北 佳保里(千葉大学 フロンティア医工学センター 助教)
  • 連携研究者 古屋 晋一(上智大学 理工学部 情報理工学科 准教授)
  • 連携研究者 上原 一将(国立精神・神経医療研究センター 脳病態統合イメージングセンター 外来研究員)