研究項目B03(公募II期)

B03-1 神経疾患と運動機能回復に関わる筋シナジーの構成機序の解明

研究概要

神経疾患とその回復によって運動機能が低下するとき、神経系の変化は動作機関である筋の協調関係(シナジー)の変化として定量的に評価できる場合がある。無痛無汗症患者の歩行中の筋シナジーは、活動期間の延長とピークタイミングの変化を生じ、脳卒中患者では協調関係の組み合わせに影響が現れる。本研究では、このような疾患に伴うシナジー変化のメカニズムを、患者や疾患ラットを使った動作解析と力学解析によって解明し、シナジーを用いた効果的な運動回復手法の構築を行う。

研究組織

funato

舩戸 徹郎
FUNATO, Tetsuro

  • 研究代表者 舩戸 徹郎(電気通信大学 大学院情報理工学研究科 准教授)【B02と連携】


B03-2 駆動関節を有する人工肢の身体化過程における身体表現変容因子の同定

研究概要

ロボットの操作性や親和性の向上、リハビリテーションプロトコルの改善を将来課題に見据え、本研究では、身体表現に存在しない新規の人工肢を身体に装着し、人工肢の関節を操作する際に起こる身体表現の変更・新規獲得について、身体部位を変えて評価を行う。また、人工肢を身体に装着しない場合における身体表現の獲得についても検討する。

研究組織

hasegawa

長谷川 泰久
HASEGAWA, Yasuhisa

  • 研究代表者 長谷川 泰久(名古屋大学 大学院工学研究科 教授)


B03-3 筋骨格ヒューマノイドを用いた身体像のファースト・スローダイナミクスの創発モデル

研究概要

身体イメージを獲得する方法は,システム論的に見て,主に二つ存在する.一つは,身体の恒常性を利用する方法,そしてもう一つは,身体の操作性から導く方法である.身体の操作性から導く方法は,複数の作業を遂行している間に,操作の不変項として身体を見つけ出す方法で,これまで工学的には詳しく調べられていない.本研究では,人間と相同な筋骨格構造を持つヒューマノイドロボットを用い,操作性から身体イメージを導く方法について構成論的に研究する.リーチング,物体操作,ドア開け,ジェスチャなど,与えられたタスクを遂行する即時適応(=ファーストダイナミクス)を実現し,その実現中に,不変部分(=スローダイナミクス)が創発する条件について調べ,人間のファーストダイナミクス・スローダイナミクスの構成論的モデルを作る.

研究組織

hosoda

細田 耕
HOSODA, Koh

  • 研究代表者 細田 耕(大阪大学 大学院基礎工学研究科 教授)
  • 連携研究者 津田 一郎(北海道大学 電子科学研究所 教授)
  • 連携研究者 久保 英夫(北海道大学 理学研究科 教授)
  • 連携研究者 池本 周平(大阪大学 基礎工学研究科 助教)

B03-4 疑似制約による上肢機能の変容・適応過程の解明

研究概要

上肢の機能が制約された患者のリハビリテーションを効果的に進めるには,手機能の現状を把握するとともに少し先の回復状態を予測し,適切な目標を設定する必要がある.しかし,すでに機能制約が生じてしまった人の観察から,こうした回復予測の指標となるデータを網羅的に取得することは難しい.本研究では把持に着目し,健常者の手の関節可動域などを疑似的に制約することで,機能制約に応じた把持戦略の変容過程を明らかにする.また,この戦略変容モデルを組み込み,種々の可動域制約下で可能な把持姿勢シミュレータを構築し,回復状態予測を目指す.

研究組織

miyata

宮田 なつき
MIYATA, Natsuki

    • 研究代表者 宮田 なつき(産業技術総合研究所 主任研究員)
    • 連携研究者 藤田 浩二(東京医科歯科大学 大学院・整形外科学 助教)
    • 連携研究者 前田 雄介(横浜国立大学 大学院・工学研究院 准教授)